(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
基本的に雪のあまり降らない関西の都市部。そんな中にあって、京都は意外にも雪の降る街です。もちろん、京都府北部の山間地域や本物の雪国に比較すれば全く大したことはありませんが、京都市内中心部でも年に一度は積雪があり、早ければ12月の半ばに降り積もることもあります。
言うまでもなく、雪の京都は普段とはまったく違った趣きを見せてくれるのですが、京都の人間であっても古刹名刹が雪化粧する姿を目にする機会はほとんどありません。
京都における雪景色は一年の内の一日か二日しか出会うことができず、それもほんの数時間もすれば解けてなくなってしまう為、日々の雑事に追われる身ではタイミングが合わないことがほとんどです。
それ程に京都の雪景色とは、とても希少かつ貴重な光景なのです。幸いなことに慧はほぼ毎年、京都の雪景色を撮影することに成功しており、そして2017年1月15日においても幸運に恵まれることになりました。
※このブログに掲載されている写真は、特別な注記がないものは全てjpeg撮って出しになります。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
午前9時。京阪電車・清水五条駅から五条通を東へ進みます。この周辺の五条通とは、つまり国道1号線に該当します。写真右手の高架道路を登ってゆくと、清水トンネルを経て山科へ。高架に乗らず、左手へゆくと東大路通を越えて清水寺の参道へと到ります。こちらは修学旅行のバスもよく通るルートなので、観光バスの車窓から眺めた方も多いのではないでしょうか。
京都盆地における降雪量は、同じ京都市内であっても位置が1~2kmずれれば大きく変わってきます。鞍馬や貴船では大雪でも、少し南に下った(サガッた)出町柳では雪が降っても積もりはせず。四条より南ではちらつく程度。宇治川を越えれば、そもそも雪なんて降っていない……といった風にです。
ですので、京都で雪景色を見学・撮影する時は、どのエリアでどの程度の降雪・積雪が見られるのか。そして何時ぐらいまでなら雪が解けずに残っていてくれるかを見定めることがとても大切です。かくいう自分も、何度も何度も「スカ」を引いた経験があります。
この時、前日の晩から降り始めた雪は、ここ数年でもっとも多くの雪を京都にもたらしました。この時間帯に五条通でこれなら、かなり期待できそうです。実際、この日は珍しく、南の方の伏見稲荷や平等院でも積雪が見られたそうです。
雪で滑る歩道を歩き、向かう先は清水方面です。
(Google Nexus 5)
これが今回の機材、ペンタックスK-1です。発売されたのは2016年4月28日なので、雪景撮影には初めての投入となりました。長年、発売を待ち続けたペンタックスフルサイズはどのようなランドスケープを見せてくれるのでしょうか。とても楽しみです。
頻繁に雪が降ったり止んだりが繰り返される京都市内。カメラは早くも雪まみれですが、そこは安心安全信頼の防塵防滴設計。最強のフィールドカメラのひとつであるペンタックスならば、雨や雪をまったく恐れることなくガンガン外に飛び出してゆくことができます。自分がペンタックスを選んでいる理由のひとつです。
(Google Nexus 5)
東大路を200mほど上り(アガり)、清水坂へ入ります。早くも凍結した急坂の路面を、フロントタイヤのロックしたタクシーがズルズル滑り下りて(落ちて?)行きます。大丈夫なのか……
京都は雪が積もると言っても、せいぜい一年に二度か三度なので、京都の人間はスタッドレスタイヤなんて履かない人も多いです。おかげで雪が降った日には、市内の交通が大混乱となることもしばしば。
2016年1月20日に積雪があった時などは、蹴上の坂が大混乱だったそうです。滑って坂道を登れず路肩に放置して留め置かれたり、スリップして横向いて刺さっていたりで、それはそれはもう酷い有様だったそうな……
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
清水坂からふと横を覗き込んでみると、このような光景が見られました。有名な八坂の塔ですね。法観寺というお寺の五重塔であり、15世紀頃の建造物だそうです。ちなみに塔の内部を拝観することもできまず。
秋のライトアップの時なども、この路地を覗いてみると、とても幻想的な景色を目にすることができます。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
清水寺をさらに登ってゆき、産寧坂(三年坂)を越えると、土産物屋が立ち並ぶ清水寺門前街。開店を前に、慣れない雪かきをする京の人々。良くも悪くも雪かきの時に水を撒いちゃうあたりが、雪国でないことの証左でしょう。
ガリガリと鉄のスコップが石畳を掻く音が響きます。めったに見られない光景です。この写真は、この日に撮影した写真の中でもかなりのお気に入りです。
(Google Nexus 5)
午前9時30分頃、清水寺へ到着しました。既に多くの人が(と言っても混雑には程遠い)、雪の清水を一目見ようとやって来ています。ちなみに清水寺の拝観時間は午前6時からです。
自分が今回、清水寺を選んだのは理由がありまして。まだ自分がカメラを始めるよりもかなり昔のことになりますが、インターネットの掲示板で雪の清水寺の写真を見たことがあります。白く雪化粧した清水寺、そしてその奥には晴れ渡る青空が広がっている……という写真でした。
その写真がとても強く印象に残っており、いつか自分もあのような清水を撮ってみたいと考えて、雪が降る度に清水に通ったのですが、いつもいつも雪が解けてしまっていたり、雪が雨に変わってしまっていたりで、青空どころか雪の清水を撮ることにすら失敗し続けておりました。そもそも清水に雪が積もることが少ない上、仮に積もったとしてもあっと言う間に解けてしまうことがほとんどなのです。朝一番でやって来たのは、そのあたりが理由でした。
京都を撮るようになって4度目の冬です。2017年こそ清水は微笑んでくれるのでしょうか。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
有名な清水の舞台からの光景です。東山三十六峰の清閑寺山と音羽山(清水山)にあたるでしょうか。奥に見える朱色の塔は子安塔(こやすのとう)。塔の麓にはゲートがあり、東山の山中へと入ってゆくことができます。
清水寺へは何度も何度も訪れていますが、こんなにも真っ白に染まった山々を見たのは初めてです。そしてK-1が描き出すホワイトのトーンが美しいのなんの。白く撮ろうとし過ぎて空が白飛びしちゃってますが、Lightroomで現像を掛ければ、ちょっとはトーンも復活するのかも……?
(Google Nexus 5)
この日、この時の積雪量がよく分かる写真です。15cmぐらいといったところですかね。京都市中心部としては、かなり積もった方です。もちろん、京都市左京区・右京区の山間部はもっともっと積もっているでしょう。
当時、使用していたスマートフォンはグーグルのNexus 5です。グーグルが開発者向けのスマートフォンとして発売していた機種で、余計なアプリがプリインストールされておらず、ピュアアンドロイドと呼ばれることもあります。
とは言え、最近のPIXELシリーズとは異なり、当時のグーグルのスマホはOEMが基本。Nexus 5もLG電子のLG G2をベースとしたものでした。カメラの性能は……まぁまぁです。決して画質は良くはありませんが、はまればそこそこ綺麗に撮れたりもしますね。
(Google Nexus 5)
清水の舞台から先へ進んだ奥之院。本来ならここが一番の写真スポットになるはずなのですが、あいにく工事中でした。2014~2020年にかけて、清水はいつもどこかしらが工事中でして、完全な姿の清水というものを見たことがありません。
ネット掲示板で見た清水の写真は奥之院から撮影したものなのですが、とてもではありませんが、理想通りの写真が撮れそうにない。おまけに空も曇り空。「今年も駄目か……」とやや落胆しつつ、奥之院から少し進んだあたりで、奇跡が起こりました。
(PENTAX K-1 / SIGMA 8-16mm F4.5-5.6)
降ったり止んだりであった雪がぴたりと止み、しかも雲は晴れて青空が広がったのです。
西方より流れる雲が切れたその一瞬。K-1のレンズをシグマの超広角レンズに換装し、夢中でシャッターを切りました。この冴え渡る青空、ダイナミックに流れる白雲、繊細なホワイトトーンを見せる樹々、朱色の三重塔、雪化粧した清水の舞台……。本当に美しい、息呑む光景でした。
これを越える清水寺の写真は、きっとこの先、二度と撮れないのではないかと思います。快心の一枚になりました。
(Google Nexus 5)
こちらがスマートフォンで撮影した写真です。これをTwitterに載せた所、万単位でバズりまして、その日と翌日は一日中スマホが通知で震えっぱなしでした。なお、K-1で撮った渾身の一枚はほとんど注目されず! まあ、世の中そんなもんですよね(白目
……なお、清水寺。これの少し前までは三重塔が工事中で、その春からは本堂の工事が始まって舞台全体にカバーが掛けられることになりました。工事が終わってカバーが外されたのは2020年のこと。本当にあらゆる意味で、奇跡の瞬間を捉えることができました。
ちなみに清水寺はお昼頃になると雪があっと言う間に解けてしまうので、雪の清水が見たいなら朝一番に拝観することをおススメ致します。交通の便はかなり悪いですけれどね。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
こちらは上の写真と同じ場所から、望遠で京都駅方面を撮影したものです。ご覧の通り、青空なんてものはなく、モノトーンに近い光景になっています。ですが、どこか水墨画を彷彿とさせて、これも気に入っている写真です。
ペンタックスK-1は白のトーンを描くのが本当に得意なカメラだと思います。雪や雲を撮るなら、選ぶべきはペンタックスでしょう。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
清水寺で大満足の一枚を得た後は、産寧坂から八坂方面へ向かいます。再び雪が降って来ました。改めて思えば、青空が顔を覗かせてくれたのは本当にわずかな時間だけでした。
写真の場所は有名な二年坂ですね。京都において初めて景観保全の為に「特別保全修景地区」に指定されたのはこの周辺です。「産寧坂伝統的建造物群保存地区」と呼ばれています。つまり「見た目が歴史的な風情がある建物が多いので、景観を意識した街づくりをしないとダメなエリア」ということです。それが実際に古い建物なのかどうかはあまり気にしてはいけません。
ちょうどこの場所にはこの年の6月30日より京町屋(っぽい物件)を改装した和風スターバックスが開店しました。自分も2017年の秋に一度行きましたが、人が多すぎて全くゆっくりできなかったですね。当然と言えば当然ですが。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
とても有名な構図ですね。産寧坂から見た八坂の塔です。人がほとんどいないように見えますが、この写真を撮っている場所にはずらりとカメラマンの方が並んでいます。みんな考えることは一緒です……
古寂びた八坂の塔、そして舞い散る粉雪。こういう時、フラッシュを焚けば雪がもっと強調されて写るとか写らないとか言うのですが、残念ながらK-1はフラッシュ非搭載……。防塵防滴の外付けフラッシュが純正でありますけれど、さすがに持ってきてないです……。風景向けのカメラでも、内蔵フラッシュが有用な時ってあるんですョ。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
産寧坂を下り切ると、そこは東大路通(東山通)。東大路を上り(アガリ)、八坂神社方面へ。この写真は八坂神社の西楼門から。四条通・祇園の交差点を写したものです。
いつもは大渋滞する四条通ですが、この悪天候ではやはり車が少ないです。基本的に京都の人(関西全域)は、雪道の運転には慣れてないですからね……。もっとも、自分がお世話になってた人なんかは雪が降ったらランエボ駆ってヒャッハーしにいくらしいですけど、それは例外ということで……
(Google Nexus 5)
さらに東大路を北上、ファミリーマート祇園塚本東山店。雪が段々と強くなってきたので、たまらずコンビニに逃げ込みました。熱々のホットスナックで身体を温めます。ファミチキおいしい(白目
歩いている最中、雪の中でもカメラは出しっぱなしです。ですが、むしろカメラよりも撮影者である自分の方が大変なことになっていました。この頃はまだアウトドアウェアの知識がなく、あれこれあり合わせの防寒着を使っていたのですが、もう全身ズブ濡れです。
なお、この時の撮影の教訓から、そこそこのお金をかけて防水・撥水ウェア、シューズを一式揃えることになりました。おかげで今では雨の日の外出でも靴下やズボンがまったく濡れなくて快適です。
(Google Nexus 5)
ファミリーマートの向かいにある、あやしい道具屋さん。何度も前は通っていても、一度も入ったことがありません。本当に謎のお店です(Googleストリートビューでも見られますよ)
Nexusの電子ズーム(つまりトリミング)で撮影した写真ですが、やはりノイズが目立ちますね。気にしなければ別に大丈夫ではありますが。いつもいつもスマホの写真は何かとよく絶賛されていますけれど、スマートフォンはどれだけ良くなっても、どれだけ年月が経っても、スマホはスマホだと思います。画像処理という面では、スマホはもはや一眼を突き放しちゃってる感はありますけれどね。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
東大路三条を東へ入り、地下鉄東西線の東山駅から白川に沿って進み、平安神宮前へやって来ました。この時間になると、だいぶ雪も溶けてきてしまっていますね。ですが大気は澄み渡るようで、透明感ある空気感が写真にもよく表れています。
そしてここまで来ると、再び雪が止んで青空が見えました。雪も撮れて、青空も撮れる。それが何度も繰り返される。写真を撮る上ではとてもおいしい天気です。まさに僥倖という他はありません。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
平安神宮前。仁王門通の信号を渡り、神宮道。琵琶湖疎水に掛かる橋の上にて。雪景色をぽかんと見つめているのは観光客ではなく地元の方。おそらく、いつもならばあまりに見飽きた光景のはず過ぎて、原付で素通りしてしまうのだと思います。それがあまりの様変わりした様子に思わず足を止めて見とれてしまったのでしょう。
白く染まる東山、朱色の橋。赤のダウンジャケット、白い原付……。どれか一つでも欠けていたら、全く違った印象の写真になっていたかと思います。この場所もまた数えれ切れないほど訪れていますが、こんな写真は二度と撮れないと思います。とても気に入っている一枚です。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
平安神宮前の交差点から二条通を東へ。京都市動物園の方角へ足を向けます。目の前むこうにそびえるのは大文字山。ずっと左側の方へいくと大文字(※右大文字)の火床があります。雪の日はあまり綺麗に見えないですけれどね。それの写真も撮っていないです。
この辺りは岡崎と言い、京都屈指の高級住宅街です。1億円を超えるような邸宅やオクションが立ち並んでいます。あと岡崎と言えば京都屈指のラブホテル街でも(ry
(Google Nexus 5)
二条通から岡崎通、再びの仁王門通と歩いて蹴上へやって来ました。有名な蹴上インクラインもご覧の通りです。雪で真っ白ですね。有名ではあるものの、桜の時期以外は見向きもされないスポットなので、ほとんど踏み荒らされてはおらず、雪がきちんと残っています。
写真に写っているのは蹴上インクラインの半分ぐらいですね。写真の奥の奥の方にまで、ずっとレールが伸びていっています。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
蹴上インクラインは琵琶湖疎水の遺構のひとつです。明治時代、琵琶湖から京都へと疎水を建設した際、かなりの高低差があった為、その上下間で船を移送する為の傾斜鉄道として作られたのがインクラインです。蹴上以外では伏見にもインクラインが存在しました。
インクラインの当時の様子は写真の手前の方にある琵琶湖疎水記念館(入館無料)で映像として見ることができます。あの記念館はとても面白いのでおすすめです。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
インクラインから東に目を向けると、ウェスティン都ホテルと蹴上第二期発電所が見えています。手前に見える樹木はもちろん全て桜です。
西の空が再び青くなってきました。またしばらくは雪が上がりそうです。
(Google Nexus 5)
蹴上インクラインから少し歩けば、そこは有名な南禅寺です。南禅寺は京都の東のはずれにあり、参詣しようと思うと交通の便がかなり悪く、知名度の割にはいつも人が少ないです。それを言い始めると金閣も銀閣も龍安寺も清水寺も、そのほとんどがアクセスしにくい場所にはあるのですが。
この南禅寺には湯豆腐の名店「奥丹」がありますが、食べたことはありません。と言うか、京都の有名な高級店ってどれも行ったことないですね。おかねないので(部屋に積み上がったカメラとレンズの山から目をそらしながら
(PENTAX K-1 / SIGMA 8-16mm F4.5-5.6)
南禅寺山門(22m)からの光景です。まさに「絶景かな、絶景かな」でございます。なお、石川五右衛門のその有名なセリフは後世の創作です。石川五右衛門の時代には、まだ南禅寺山門は作られていませんゆえ。
ちなみにこの日、持ち歩いているレンズはペンタックス純正のDFA28-105mmとシグマの8-16mmの2本のみです。京都では単焦点はほとんど持ち歩くことはありません。
京都はどこへ行っても基本的に狭苦しい上に人が多すぎるので、単焦点でじっくり自分の足で画角を決めるというのが不可能に近いんですよね。なので機動力とシャッターチャンスこそを重視してズームレンズばかり多用しています。似たような理由で三脚も持ち歩きません。というか立てられる場所がないです。京都のとあるカメラ屋の店員さんも「ジッツォのカーボン、持ってるんだけど使う機会がない」とこぼしておられました。
以前、東京で撮り歩いた時はDA20-40mmとKPの組み合わせがジャストではまったので、東京は35mm(換算50mmぐらい)の単焦点を持ち歩くのが楽しい街だと思いました。一方の京都は広角の街ですね。換算28mmひとつでいいぐらいです。つまり「Just GR is Fine.(GRさえあればいい)」と言うことです(?)
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
南禅寺境内にて、これまた有名な南禅寺水路閣。琵琶湖疎水の遺構(これは現役で使われていますが)のひとつです。蹴上インクラインの上部から取水して、その水の一部がこちらの水路閣の上を流れて哲学の道に至ります。
ちなみに水路閣の奥へ行くと、大日山の山中へと入ってゆき、ひいては大文字山へと登ることができます(一般の観光客の方へはオススメしません。大文字山をトレッキングする人向けです)
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
南禅寺から鹿ヶ谷通を北へ歩き、哲学の道へと向かいます。ここは京都大学の哲学博士・西田幾多郎をはじめとした哲学者たちがよく散策に訪れたということから、哲学の名が冠せられています。そばを流れるのは琵琶湖疎水の白川分線。この流れはやがて下鴨方面へと至り、高野川と賀茂川を渡った後、堀川通を下り、やがて上鳥羽から鴨川へと注ぎ込みます。
哲学の道もまた有名な桜の名所ですね。4月も第二週頃になれば、この流れには無数の桜の花びらが流れ落ちてゆきます。最近はあまり見られませんが、今出川通では桜の花びらによる花筏が出現することもあります。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
昔から哲学の道には数多くの猫が居座っています。人にもよく慣れており、この猫などは、ちゃっかり近所のおじさんの膝の上に暖を取りつつ、背中を撫でさせてやっています。
なお、この写真。お隣で一緒に写真を撮っている方もK-1を使っていました。京都は観光客が極めて多く、カメラを下げている方も無数におられるのですが、京都を一日歩き回ってみても、ペンタックスを使っている人は1人見かけるかどうかにしか過ぎません。
しかし雪の日ともなれば、なぜかペンタックスユーザーの方の目撃率が跳ね上がります(笑)
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
哲学の道から銀閣へと至り、今出川通までやって来ました。先ほどまでの晴天が打って変わって、強い雪が降って参りました。
ここもまた、あと二ヶ月もすれば満開の桜が咲き乱れるのですが、京都の冬は長く冷たく、春はまだ遠しです。
(Google Nexus 5)
今出川通を西へ向かって歩いていると、白川通との交差点あたりでまた晴れました。それにしても何やらお巡りさんがたくさん立っていると思ったら、女子駅伝が行われていました。
写真ではちょうど雪が止んでいますが、止んでいたのはこの一瞬だけ。この日は大雪に次ぐ大雪。彼女たちは吹きつける風雪の中を走り続けており、本当にかわいそうでした。TV中継もされていたそうですが、それはそれは悲惨なレースが繰り広げられていたようです。
(Google Nexus 5)
今出川通、京都大学のあたりまでやって来ました。非常に強い雪と風です。とてもではありませんが、目を開けていられません。さすがに歩くのがきつくなってきたので、通り沿いの軒先に逃げ込んで雪宿りさせて貰いました。
こんな中を駅伝の女子ランナーたちが走らされているなんて、狂気の沙汰でしかありません。ただ、雪が強いと言っても、積もりそうな雪ではありませんね。やはり京都の積雪が見られるのは、この年もこの日の午前早くで終わってしまいそうです。貴船とかへ行けばずっと積もっていますけどね。ちょうどこの今出川が、雪景色の境界になっている感じです。
(Google Nexus 5)
カメラももちろん雪まみれです。ですが当然のごとく問題なし。本当に頼りになります。もちろん、ペンタックスの防塵防滴を完全に信頼している訳ではありませんが(実際、水分によって壊れたこともありますし)、壊れたら壊れたでメンテナンスとオーバーホールがてらに修理に出せばいいかなと考えています。
ちなみにK-1。基本的にモードダイアルはM(マニュアル)、スマートファンクションはCropに入れっぱなしですね。購入したその日から現在に到るまで、変わらぬスタイルです。特にスマートファンクションのクロップは、GRであったクロップ機能と同じような感じで多用しています。
(PENTAX K-1 / DFA28-105mm F3.5-5.6 WR)
視界一面を覆い尽くす雪。これもまたなかなか京都では見られない光景です。いつまでも雪やどりばかりしていられないので、雪の中へと飛び出してゆきます。手はすっかりかじかんで、靴も靴下もずぶ濡れです。
今出川通から東大路へ。まもなく百万遍の交差点です。京都の交差点は南北と東西に交差する二つの通り名を組み合わせて表現されることが多いのですが、ここは東山今出川(東大路今出川)ではなく「百万遍」の名が与えられています。「祇園」の名がつけられている東山四条や、「円町」の西大路丸太町なども有名ですね。
百万遍とは、この交差点北東にある百万遍知恩寺に由来します。もう少し言えば、後醍醐天皇の時代、疫病を鎮める為に後醍醐帝が京都中の寺に念仏を唱えるようにとの詔を発せられ、知恩寺の八代目住職である空円上人が七日七晩かけて百万回の念仏を唱えたことから、「百万遍知恩寺」を名乗ることを許されたとされています。
(Google Nexus 5)
さすがに雪中行軍も限界です。百万遍の交差点にある餃子の王将でお昼にします。決して広い店内ではないので、ゆっくりはあまりできませんが、熱いスープと炒飯が冷え切った五臓六腑に染み渡ります。なお、餃子の王将は京都発祥のチェーンですね。山科区に本社があります。1号店は四条大宮のあたり。
雨や雪の撮影の時、交通機関やお店の中など、暖かい空間に入る時は結露に気を使います。入店前にカバンの中にカメラを閉まって、室内では取り出しません。こうすると結露についてはかなりマシな感じですね。2016年1月に雪の貴船を訪れた際、バスの中で結露させてしまってレンズが故障してしまったことがあるので、以来、徹底しております。ニコンの一眼レフ(D700 / AF-S 24-70mm F2.8G)でも雪中撮影をしたことがあり、盛大に結露させてしまったことがありますが、そちらはまったくの故障なし。やはりニコンのプロ機の方が結露には強い印象ですね。
(Google Nexus 5)
ラーメンを食している間に雪もやみました。今出川通をさらに西へ進めば、有名な鴨川デルタにたどり着きます。雪のデルタが久しぶりに見られるかと期待してみたのですが、残念ながらもう雪は解けてしまっていました。
時刻にして14時30分。京都の雪はお昼を過ぎるともうダメですね。やはり京都の雪景色はほんの数時間しか観られません。というか5時間も雪の中を彷徨っていたのかと思うと自分でもびっくりです。
(PENTAX K-5Ⅱs / DA18-135mm F3.5-5.6WR / Adobe Photoshop Lightroom)
ちなみにこちらは2016年1月20日に雪が降った時の写真です。雪の鴨川デルタはこんな感じになります。こちらの時刻は午前9時15分。ばっちりデルタの部分にも雪が残っていますね。
この時は出町柳をスタートして貴船神社。そして出町柳へ取って返して清水寺へ行きました。貴船は雪国のような様相だったのですが、出町柳へ戻ってきた時には雪は雨に変わり、清水寺はほとんど雪が解けてしまっていましたね。今回の撮影は一年越しのリベンジでもあったのです。
鴨川デルタの後は賀茂大橋を渡って西詰へ。そこからバスに乗って金閣寺へ行くことにしました。金閣もまた山際にあるので、ひょっとしたらまだ雪景色が見られるかな?と思ってのことでした。
(Google Nexus 5)
……金閣の入り口です。時間は15時30分。拝観待ちの列が長すぎて、中に入らず引き返しました……金閣も雪のそれが見たいなら、朝の一番に行かないと駄目ですね。
最近はインターネットで(Twitterとか)、すぐに雪の金閣の写真が出回るので、それを見て参拝者が大挙して押し寄せて来るのです。金閣は地下鉄鞍馬口から延々と歩くか、お世辞にも便利とは言えないバスで向かうかしかないのでとても不便なんですけどね。
(PENTAX K-5Ⅱs / DA18-135mm F3.5-5.6WR / Adobe Photoshop Lightroom)
ちなみに雪の金閣はこんな感じになります。こちらは2014年12月18日、13時過ぎに撮影した写真です。この時の雪の金閣は素晴らしかったですね。お昼過ぎでも雪が降り続き、人もそんなにいませんでした。
2014~2015年にかけての冬は京都にとっては雪の当たり年だったと思います。2015年のお正月にも大雪が降り、この時もまた雪の金閣が見られました(行った)。何にしても、雪の金閣は比較的、見られる機会が多いですよ。
今回の撮影ルートはこのような感じとなっています。雪の時期に限らず、年間通じての観光ルートとしてもおススメです。特に桜の時期などもよろしいかと存じます。ちなみに金閣の後は、バスで四条河原町まで戻りました。
ちなみに京都の雪景色ですが……
・清水寺→かなりレア。朝一番に行かないと見られない。昼を過ぎると解けます。
・伏見稲荷→極めてレア。朝一番に行きましょう。ただ、雪化粧が生えるかどうかは微妙。
・平等院→そもそも積もることがほとんどない。事前の情報収集はしっかりと、そして朝一番に。
・金閣寺→割とよく見られます。昼を過ぎても雪が残っていることが多い。でもお昼過ぎは人が増えます。
・竜安寺石庭→ぜひ金閣とセットでどうぞ。のんびりまったり見られる穴場です。
・銀閣寺→ややレア。見たい時は早めに行きましょう。
・嵐山→意外と積もらない。積もると水墨画のような世界が見られる。早めの時間帯に。
・貴船&鞍馬→一度雪が降ったら、当分は雪が降り続きます。貴船は雪の日限定ライトアップもやります。
とにかく雪が見られる時間帯が午前中に限られると思った方がいいです。それぐらいに京都の雪はすぐ解けます。貴船は何日も残るので大丈夫ですけど。
そして2017年1月以来、京都に雪はほとんど降っていません。2018、2019とハズレ年でした。ちゃんと場所と時間を選べば、見られるポイントは少しはあったようですが……。何にせよ、遠方の方にとってはかなりハードルが高いですけれどね。
2020年の冬は冷え込むという噂です。今年こそ、また京都の雪を見てみたいものです。
(Google Nexus 5 / 四条通、17時)
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